①自律神経失調症とうつ、更年期障害

自律神経失調症とうつ、更年期障害は似たような症状、悩みが起こることから混同されている方が多々いますのでその違いと当店での対応方法の概念をお伝えしたいと思います。

自律神経失調症とは

症状を出している原因が、自律神経という「神経」にあります。自律神経とは体温、血圧、内臓の動き、ホルモンバランスの調整などを文字通り「自律的に」コントロールしている「神経」で自分の意思では動かせない臓器のコントロールをしている神経の事を指します。
自律神経失調症とはこの自律的コントロールが何らかの原因でうまくいっていない、例えば外気温が高いのに体温をあげてしまいほてり感がひどい、というものもありますし、大腸に便が溜まっているのに排便の神経が働かいないので便秘になる、などの症状があったりします。
自律神経失調症を発症する原因は「ストレス」と呼ばれるものが一般的です。特に長期間にわたるストレスが原因になり、ちょっとしたきっかけで急に発症、症状が出て辛くなることが多いです。当人にとっては心当たりもなく、急な体調の変化に驚かれる人もいらっしゃいます。

自律神経失調症の病院診断と病院での対応

自律神経失調症という正式な診断名はありません。当人の状態を表す言葉だと思ってください。あまりにも症状がひどい場合や明らかに精神的なことが原因の場合であると心療内科の受診を勧められると思います。
基本的に原因が不明で症状がある、血液検査などに異常が無い、というのが前提ですが「患者様が病院の先生に伝えた症状」の緩和を目的とした薬が処方されます。しかし、実際のところ自律神経失調症という病名が無い時点で対応する薬がありません。あまりにも症状がひどい場合は睡眠薬や抗うつ剤等、酔い止めの薬等、脳中枢神経に働く薬が処方されます。これらの薬は依存性が高いものもあり、病院の先生もあまり強くは勧めてこないと思います。
余談ですが、一般的な西洋薬は神経をコントロールする薬がほとんどです。例えば総合感冒薬の中には咳中枢に作用して咳を止めるコデイン(麻薬成分)やメチルエフェドリン塩酸塩という交感神経を刺激して気管支を広げる薬、中枢神経を抑制して眠くなる抗ヒスタミン剤などが含まれて多くの方が常用しています。
当然ですが、目の前の症状を軽減するための薬ですので薬のチカラで自律神経失調症が根治することは絶対にありません。多くの方は薬を飲み続けることによってその場しのぎを続けていくことになります。
病院治療で良くなったと言っている人は何かしらの生活の改善を行い、自分の力で治癒されている方だとおもいます。

うつ

症状を出している原因が、脳内(精神)にあると考えられています。脳神経も自律神経と同じく「神経」の仲間ですが自律神経をコントロールしている中枢である「脳」に原因があると考えられています。その結果、自律神経失調症と同じような症状が出てきたりします。脳(精神)中枢に不調をきたしている状態なので自律神経失調症と同じような症状に加え、不眠、疲労感、顔のしびれ、抑うつ、自殺願望等の症状が出てくることも多いです。主に抑うつ状態が激しい人が「うつ病」と診断されて向精神薬などを処方されています。
うつになる原因は様々でストレスの場合もありますし脳梗塞やパーキンソン病、アルツハイマー等が進行してうつ状態になる場合もあります。細かく分けると心因性うつ、身体性うつ、内因性うつと分けられますが、ここでは「心因性うつ」を例にとってお話しします。「心因性うつ」の原因は将来への不安、長期的ストレス、災害などのPTSDや身内の不幸などが引き金となっていることが多いです。

「うつ」の病院診断と病院での対応

うつ症状の原因は脳内のセロトニンというホルモンが不足していることが原因と考えられて薬が処方されます。
セロトニンとは別名、しあわせホルモンと呼ばれる脳内ホルモン(神経伝達物質)で、ドーパミンやアドレナリンを制御して精神状態をコントロールしているホルモンです。
うつ病の研究は昔から行われており、うつ病の患者の脳内にはセロトニンが少なくなっているという事が分かっています。そこで脳内でのセロトニンの分解(再取り込み)などを阻害する薬(抗うつ剤)が使用されます。
「デパス」という薬に代表される抗うつ剤ですが依存性が高いという欠点があります。抗うつ剤を使用しないとうつ症状がひどくなり、居ても立っても居られない状態になります。その結果、薬の量が増えていきます。
抗うつ剤も副作用や依存性の少ないものが発明され、販売されるようになってはいますが効きが悪かったり、長期で使用すると効かなくなってきたり、という点は同じです。

抗うつ剤はなぜ効かなくなる?

健常な精神状態の人とは「セロトニン量が多い人」ではなく「セロトニン量のバランスが取れている人」です。

脳内のセロトニン量は多ければいいというものではなく、過剰になると不安・錯乱・発汗・心拍数の増加・発熱・体の震え・筋肉のけいれん・吐き気・頭痛・昏睡など、様々な症状が出てきます。
そのため脳内ではその量を細かくコントロールするために生産量と分解量がバランスよく働いています。
抗うつ剤を使用すると分解が止められて生産量が多くなり、脳内のセロトニン量が増えてきます。
しかし、脳細胞はセロトニンが十分にあると思い、生産量を抑えてしまいます。
セロトニンを受け取る脳細胞も十分に細胞内にセロトニンがあると勘違いし、セロトニンを受け付けなくなっていきます。脳内のセロトニン量は抗うつ剤を使用していないときは以前よりも少ない状態になっていきます。その結果、薬が止められなくなります。

更年期障害とは

女性の「更年期」は閉経前後の10年間を指し示す言葉です。急激な女性ホルモンバランスの変化(女性ホルモンの減少)によりのぼせ、顔のほてり(ホットフラッシュ)、発汗、めまい、動悸、頭痛、肩こり、関節痛、冷え、気分の落ち込み、イライラ、意欲低下、不眠などの症状が出てきます。
主に、熱感(ほてり)や発汗等、体温調節に関しての不調を訴える方が多いです。

更年期の原因・病院治療

更年期の原因は女性ホルモンの減少(男性の更年期障害の場合は男性ホルモン)によるものですので、病院治療ではホルモン補充療法などが行われます。
ホルモン減少が症状の原因であるので補充することによって症状は改善されます(少なくとも一時的には)。
しかし、①ホルモン補充をいつまで続けるのか?②乳がん、子宮頸がんの発症率が増加する という問題があります。

当店での自律神経失調症、うつ、更年期障害への対応

これらの症状、原因にはかなり個人差があり、一概に共通の対応方法は決めることができません。最もつらい症状は?いつからか?過去の病歴は?生活環境(食事や睡眠の状態)は?等、よくお話をお聞かせいただくところから始まります。

健康な状態というのは上図のように、免疫-ホルモン‐自律神経のバランスが取れている状態が「真に健康な状態」であると言われています。
重要なのはこれらが密接につながり、お互いに影響し合っているというところです。どこか一か所がバランスを崩すことにより他の2か所もバランスが崩れて不調の原因になってしまうというところです。
病院から処方される薬や治療のみでは、ある症状を改善する一方、それ以外の場所には負担をかけてしまい、結局、全体のバランスを崩してしまうと思っています。
当店では漢方薬やサプリメント等の組み合わせを患者様ごとに組み合わせ、全体のバランスを時間をかけて整えていくことで症状の改善と根治を目指します。
病院治療だけでは不安な方、病院治療を続けるのに不安な方、病院治療で症状が改善されない方、もちろん病院に行くまでもないと思っているけどつらい感じが抜けない方、一度、ご相談に来ていただければと思います。

余談:その①うつ病で病院治療をされている方へ

昔は「精神分裂症」と呼んでいた名前が「統合失調症」に変更され、「精神科」は「心療内科」「メンタルヘルスクリニック」等に名称を変え敷居が低くなり、病院治療を受ける方が増えています。一方、本来必要のないはずの薬を処方されているというパターンも多いのでお気を付けください。

こんな心療内科は嫌だ

①身体疾患のチェックや血液検査をしない。
②原因を聞いてくれない(原因が心理性なのか身体性なのか見ようとしない)。
 →甲状腺疾患でよくある橋本病や若年性更年期障害、糖尿病でもうつ病と同じような症状が出ることがあります。
③正論アドバイスをやたらしてくる。
 →うつ症状の原因はストレスです。病院の先生がストレス原因になっていませんか?
④薬の種類が最初から多い。
⑤効果が薄いとき、薬の量を増やすことしかしない。
 →完全に薬頼りで患者を診ていない例です。
通っている病院に上記が当てはまるようであれば、少なくとも「病院を変える」という事はされた方がいいと思います。

余談:その②生活指導とその効果

うつ病、自律神経失調症などは普段の生活環境が大きな影響を与えているのは確かです。
ヒトの体は薬でできているわけではなく毎日の食事で作られています。特に若年層のうつ病を診断されている方はもともとの食事のバランスが悪く、昼夜逆転の生活をされている方が多い気がします。健康トライアングルの図をもう一度見ていただくと、そこには土台があります。
食事、運動、睡眠と当たり前のことが書かれていますが、ストレスを軽減するためには睡眠をしっかりとることが一番手っ取り早く、神経細胞情報の伝達には食事から摂取するミネラルやたんぱく質、脂質などが重要です。朝の太陽光にはセロトニンやメラトニンといったホルモンバランスを調整し体内時計を修正する働きがあります。
生活習慣に問題がある場合は生活習慣改善が症状に緩和にかなり効果的です。実際に、食事指導と生活指導だけでも抗うつ剤を飲まなくて済むようになった例が多数あります。
一方で、うつ状態になると睡眠がうまく取れなかったり、食事とる気になれない、運動する気になれない、というのも承知しております。そういった患者様には最初は栄養や睡眠を補助するためのサプリメント等も組み合わせてのご提案となります。
相談の際は生活のコツも合わせてお話しさせていただきますのでお気軽にご連絡いただければと思います。